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勉強に専念するためとして、例年より3ヶ月遅れの今年の2月から大学3年生の就職活動は始まった。毎日の様に黒いリクルートスーツを着た学生たちを全国のあちこちの都市で見かける。ネットでエントリーシートを申し込み、採用説明会に応募し、本番の面接にたどり着くまではなかなかの道のりである。更に、二次、三次、最終の面接を経て、内定通知をもらうまでは予断を許さない。
特に地方の大学の学生、さらに女子学生は苦戦を強いられるというのは今も一般的である。私の知人の娘さんも東京在住ではあったが昨年の就職戦線で、6度目の最終面接でやっと内定通知をもらったそうだ。しかも誰もがあこがれる東京の有名私大、K大学の学生でもである。「最終面接で落とすくらいなら、一次で落としてよ」と娘が言っていたとの話は本当に切実である。5回も最終面接までというのはさぞやしんどかったろう。
さて、今回、産経新聞社がまとめたSNSへの書き込みと就活。大学生がいるいないに関わらず時代を象徴している記事なので皆さんにご紹介する。最後の章で、マグロの養殖が大ヒットして受験者が10万人を突破し、今年春の入試で応募者数が№1になった近畿大学の取組が紹介されている。SNSの利用は積極的に進めている、しかし、その発信のあり方をしっかり指導しているとのコメントには実に共感した。SNSの利用はリスクも伴う。しかし、だからと言ってSNSは利用するな、とのネガティブ指導は学生の闊達な学業にはつながらない。一昔前の臭いものに蓋をする発想である。
たぶん、近畿大学の様な前向きな考え方や積極的な姿勢の大学は珍しいのではないだろうか。日の出の勢いの大学は違うとも思った。私の知人でクラウド専門のIT企業の社長が実に興味深いことを言っていた。採用面接で、挨拶より、メールやSNSでの日本語の文書をしっかり評価するそうだ。それは、ITエンジニアはコンピュータの言語の法則に従い効率的なプログラムを目指す。文書は日本語という言語の法則で主語と述語、助詞が構成され自分の思いを表現する。つまりそれぞれの言語の論理をしっかり理解しているか通じるものがあるとの話だった。
ちなみに、毎年、就職率№1を維持する秋田の「国際教養大学」であるが、全国の一流企業に「本学の学生は就職面接にリクルートスーツでは行かせません」とのメッセージをこの春先に送付している。3ヶ月遅くなり暑い時期でクールビズの精神に反することや、あの喪服の様な黒服は世界標準ではないこと、また、服装ではなく学生の資質や能力、つまり中身を評価して欲しいこと等をあげている。丸の内企業がこぞって採用したがる評価を得ている大学は流石に違う。
僕らの頃はネイビーブルーの紺系の背広が就活には一般的だった。いつから黒服になり、リクルートスーツと言われだしたかは定かではない。採用のエントリーシートに出身大学さえも記入させない会社も増えつつある。服装も含めて優秀で創造力があり、意欲が高い学生を採用するには見た目より中身の時代になりつつある。SNSでの発信やエントリーシートの名前を検索をするなど、既にどの会社もやっている常識的なことである。ネット社会にどうデジタルの足跡を残すか。今まで、大目に見られてきた若者の悪ふざけは、もはや若気の至りでは済まされない生きづらい時代でもあると再任識が必要だと思う。