2015.5.28 | |
今、就活シーズン真っ只中、就職とSNS利用をどう ... |
2015.5.24 | |
日本列島横断、情報モラル教育、充電の旅! |
2015.5.22 | |
いかがなものでしょうか? |
2015.3.28 | |
青少年のネット問題は日本もドイツも同じ!!(ドイ ... |
勉強に専念するためとして、例年より3ヶ月遅れの今年の2月から大学3年生の就職活動は始まった。毎日の様に黒いリクルートスーツを着た学生たちを全国のあちこちの都市で見かける。ネットでエントリーシートを申し込み、採用説明会に応募し、本番の面接にたどり着くまではなかなかの道のりである。更に、二次、三次、最終の面接を経て、内定通知をもらうまでは予断を許さない。
特に地方の大学の学生、さらに女子学生は苦戦を強いられるというのは今も一般的である。私の知人の娘さんも東京在住ではあったが昨年の就職戦線で、6度目の最終面接でやっと内定通知をもらったそうだ。しかも誰もがあこがれる東京の有名私大、K大学の学生でもである。「最終面接で落とすくらいなら、一次で落としてよ」と娘が言っていたとの話は本当に切実である。5回も最終面接までというのはさぞやしんどかったろう。
さて、今回、産経新聞社がまとめたSNSへの書き込みと就活。大学生がいるいないに関わらず時代を象徴している記事なので皆さんにご紹介する。最後の章で、マグロの養殖が大ヒットして受験者が10万人を突破し、今年春の入試で応募者数が№1になった近畿大学の取組が紹介されている。SNSの利用は積極的に進めている、しかし、その発信のあり方をしっかり指導しているとのコメントには実に共感した。SNSの利用はリスクも伴う。しかし、だからと言ってSNSは利用するな、とのネガティブ指導は学生の闊達な学業にはつながらない。一昔前の臭いものに蓋をする発想である。
たぶん、近畿大学の様な前向きな考え方や積極的な姿勢の大学は珍しいのではないだろうか。日の出の勢いの大学は違うとも思った。私の知人でクラウド専門のIT企業の社長が実に興味深いことを言っていた。採用面接で、挨拶より、メールやSNSでの日本語の文書をしっかり評価するそうだ。それは、ITエンジニアはコンピュータの言語の法則に従い効率的なプログラムを目指す。文書は日本語という言語の法則で主語と述語、助詞が構成され自分の思いを表現する。つまりそれぞれの言語の論理をしっかり理解しているか通じるものがあるとの話だった。
ちなみに、毎年、就職率№1を維持する秋田の「国際教養大学」であるが、全国の一流企業に「本学の学生は就職面接にリクルートスーツでは行かせません」とのメッセージをこの春先に送付している。3ヶ月遅くなり暑い時期でクールビズの精神に反することや、あの喪服の様な黒服は世界標準ではないこと、また、服装ではなく学生の資質や能力、つまり中身を評価して欲しいこと等をあげている。丸の内企業がこぞって採用したがる評価を得ている大学は流石に違う。
僕らの頃はネイビーブルーの紺系の背広が就活には一般的だった。いつから黒服になり、リクルートスーツと言われだしたかは定かではない。採用のエントリーシートに出身大学さえも記入させない会社も増えつつある。服装も含めて優秀で創造力があり、意欲が高い学生を採用するには見た目より中身の時代になりつつある。SNSでの発信やエントリーシートの名前を検索をするなど、既にどの会社もやっている常識的なことである。ネット社会にどうデジタルの足跡を残すか。今まで、大目に見られてきた若者の悪ふざけは、もはや若気の至りでは済まされない生きづらい時代でもあると再任識が必要だと思う。
久しぶりにJRチケットを記念に持ち帰った。
ご覧のように上段の乗車券の区間は東京駅から熊本駅までだが朱書きは名古屋駅、新大阪駅、岡山駅と自動改札機の途中下車の刻印がいくつもある。下段の九州新幹線の最速「みずほ号」は最後の岡山駅から熊本駅までのたった2時間ちょっと特急券である。実はこれだけ途中下車したのは訳がある。
往路は数日前に私のウォールでご報告したように熊本空港~大阪・伊丹空港~羽田空港とあっという間に移動した(なぜ伊丹空港を経由したかには深い訳が)。到着後すぐに代々木にある国立オリンピック青少年センターに移動し、2枚目の写真のように数日前に4時間もの私のレクチャーを受けられたドイツからの教育視察団の皆さんの研修報告を聞いた。青少年のネットの問題について、共通することと相違点、ドイツの改善事項、それに日本への提言であった。
終了後、すぐに名古屋に移動し、名古屋市の小中学校情報教育研究会のみなさんと「情報モラル教育」を酒の肴に意見交換をした。研究会に「情報モラル教育研究グループ」を今年度から組織しますという実に先駆的な嬉しい話も聞いた。翌日の土曜日には大阪で、総務省の近畿総合通信局主催のネットモラル動画コンテストで審査員を務めた関係で表彰式のプレゼンター役をし、その後、兵庫県立大学の竹内先生の進行で高校生、大学生のトークセッションを興味深く拝聴した。
最後の写真は日曜日に岡山の山陽新聞社が主催された「OKAYAMA中学生スマホサミット」のフォーラムに参加して中学生の”生の声”を聞いた。同じく竹内先生のリズミカルな進行のもと、中学生の本音の意見がたくさん飛び出した。岡山県内から意志の高い中学生が30名ほど集ってのサミットだったがこのフォーラムを開催するにあたり、啓発ムービーの作成やディーエヌエー協力で作製された使いすぎ注意勧告アプリ(通称、桃太郎アプリとネーミング)、啓発ポスター募集の表彰など、実に内容盛りだくさんの4時間であった。地域地域で情報モラル教育の取組も特色と温度差が出てきているが新聞社が地域リーダーになっているところは私の知る限り岡山くらいである。
たまたま日程も連続していたため、帰路に、JRで途中下車しながら、それぞれの企画に参加した。各取組の詳細はそれなりに文字数が必要なため、また別の機会にご紹介するが、地域の実情に応じて、やっとであるが情報モラル教育の取組に各地で火が付いたと思っている。内閣府の関係委員の一人として、長年にわたり啓発活動に関係してきた者として実に嬉しい限りである。
最後に、ドイツの視察団から日本への提言として耳が痛い内容があったのでご紹介する。「OECD国際学力比較調査でドイツはどの項目も平均である。それでよいとみんなが思っている。しかし、日本はそれぞれの項目でベスト5に入ることが要求され、生徒や先生、教育行政の方々のストレスになっているのではないか。ベスト5が良くて、平均が良くないとは思えない」との内容だった。とかく順位や成績に、やたらこだわる日本の教育への示唆と理解した。その通りである。ドイツの子ども達の成績が低いとは私は思えない。なぜか、残念ながら高校、大学、社会人と、その教育成果は日本では崩れていく。英語教育など残念ながらあまり成果を出していないのはご承知の通りである。今、教育界では「21世紀型学力」が花盛りであるが、その成就には、案外、その指摘はポイントかもしれないと思った。